小学生の先取り学習は必要?東大卒の父が『急がなくていい』と考える理由

小学生の学び

「小学生のうちから、先取り学習をさせたほうがいいのだろうか?」

周りの子が学校より先の算数を勉強していたり、小学生なのに中学校の内容まで進んでいたりすると、親として少し焦ることがあります。

「今のうちに先へ進んでおいたほうが、中学や高校で有利なのでは?」

「難関大学を目指すなら、小学生から先取りしたほうがいいのでは?」

そう考えるのも自然だと思います。

私は地方の公立小学校、公立中学校、公立高校で育ち、一浪して東京大学に入りました。

しかし、小学生時代に先取り学習をしていた記憶はありません。

私が実際に小学生時代をどう過ごしていたのかは、こちらの記事で詳しく書いています。

→ 東大卒の私が小学生時代にやっていたこと|塾なし・先取り学習なしの子ども時代

塾にも通っていませんでした。

家には学研の教材がありましたが、勉強部分はほとんどやらず、私が楽しみにしていたのは付録の工作でした。

それでも、その後必要になったときに勉強し、最終的には東大まで進むことができました。

だから私は、自分の息子たちにも、

「将来のために、今のうちからどんどん先へ進ませなければならない」

とは考えていません。

もちろん、先取り学習そのものを否定するつもりもありません。

子ども自身が算数を面白がって、

「もっと先を知りたい」

と思っているなら、どんどん学べばいいと思います。

私が疑問に思うのは、子ども本人ではなく、親の不安から始める先取り学習です。

この記事では、先取り学習をほとんど経験せずに東大まで進んだ私自身の経験と、現在二人の小学生を育てている立場から、小学生の先取り学習は本当に必要なのかを考えてみます。

私は小学生時代、先取り学習をしていなかった

私が小学生だった頃を振り返っても、学校より先の内容を勉強していた記憶はありません。

塾にも通っていませんでしたし、中学受験もしませんでした。

家には学研の教材が届いていましたが、私は勉強部分にはほとんど手をつけず、付録の工作ばかり楽しみにしていました。

むしろ、小学生時代によく覚えているのは勉強以外のことです。

外で友達と遊ぶ。

ソフトボールをする。

『北斗の拳』の絵を何度も模写する。

自分で漫画を描いてみる。

そんなことに夢中になっていました。

当時の両親から、

「もっと先の勉強をしなさい」

と言われた記憶もありません。

その後、公立中学校、公立高校へ進みました。

高校を卒業するまで塾にも通わず、現役では東大に不合格。一浪して初めて予備校に通い、東京大学に合格しました。

もちろん、これは**「先取り学習をしなかったから東大に合格できた」**という話ではありません。

ただ、私自身の経験から少なくとも言えるのは、

小学生のときに先取り学習をしていなくても、その後の学力が決まってしまうわけではない

ということです。

小学生の時点でどこまで先へ進んでいるかよりも、その後、自分に必要な勉強を必要なときにできることのほうが、私は大切なのではないかと思っています。

先取り学習そのものが悪いわけではない

ここまで書くと、

「先取り学習はしないほうがいいのか」

と思われるかもしれません。

私は、そうは考えていません。

たとえば算数が好きな子が、学校で習った問題を簡単に解けるようになり、

「もっと難しい問題をやってみたい」

「次は何を習うんだろう」

と興味を持つ。

それなら、学校の進度に合わせて止める必要はないと思います。

本を読んでいて知らないことに興味を持ち、自分で調べて、結果として学校よりずっと先の知識を身につけることもあるでしょう。

それも一つの「先取り」です。

私が大切だと思うのは、

「誰が先へ進みたいと思っているのか」

です。

子ども自身が知りたくて先へ進むのと、

親が、

「周りの子より遅れたくない」

「将来の受験で有利にしたい」

と考えて先へ進ませるのでは、同じ先取り学習でも意味が違うと思います。

子どもが面白くてどんどん進んでいるなら、親はそのための本や教材を用意すればいい。

一方、子どもが今習っていることにも興味を持っていないのに、さらに先の内容までやらせる必要があるのか。

私はそこには疑問があります。

「先取りするか、しないか」より、「子ども自身が学びたいと思っているか」。

まずそこを見たいと思っています。

私が先取りより大切だと思うのは「今の内容をきちんと理解すること」

先取り学習では、どうしても

「何年生の内容まで進んだ」

「学校より何か月先を勉強している」

ということが分かりやすい目安になります。

でも私は、どこまで先へ進んだかより、今習っていることをきちんと理解しているかのほうが大切だと思っています。

特に算数は、その傾向が強いと思います。

足し算、引き算、掛け算、割り算。

分数や小数。

割合。

それまでに習ったことを使いながら、次の内容へ進んでいきます。

先へ進むことを急いでも、土台になる部分があやふやなら、どこかで分からなくなるかもしれません。

だから我が家でも、息子たちが学校より先の単元を勉強しているかどうかは、ほとんど気にしていません。

それよりも、

今、学校で習っていることが分かっているか。

特に基本的な計算が、きちんとできているか。

そこを見るようにしています。

もちろん、今の内容を十分理解していて、本人が先へ進みたければ進めばいい。

でも、先へ進むこと自体を目標にする必要はないと思います。

勉強は競争ではありません。

小学生の段階で一歩、二歩先にいることより、

分からないことに出会ったときに、自分で考え、理解しようとすること。

私は、そういう学び方のほうを大切にしたいと思っています。

小学生の家庭学習をどこまでやればいいのかについては、こちらの記事で詳しく書いています。

→ 小学生の家庭学習は宿題だけで大丈夫?東大卒の父が考える「やらせすぎない」勉強法

小学生の遊ぶ時間を私がなぜ大切にしているのかについては、こちらの記事で詳しく書いています。

→ 東大卒の私が「小学生は遊んだほうがいい」と考える理由|勉強より夢中になる時間

小学生だからこそ、先取り以外に使える時間がある

小学生の時間には限りがあります。

先取り学習に時間を使えば、その分、ほかのことに使える時間は少なくなります。

私は小学生の頃、先の学年の勉強はしていませんでした。

その代わり、友達と外で遊んだり、ソフトボールをしたり、漫画を読んだり、『北斗の拳』の絵を何度も模写したり、自分で漫画を描いたりしていました。

当時はもちろん、

「これは将来のためになる」

などと考えていたわけではありません。

ただ、面白いからやっていただけです。

今、自分の息子たちを見ていても同じように感じます。

友達と遊ぶ。

スポーツをする。

ゲームをする。

漫画を読む。

自分で何かを作る。

興味を持ったことを調べる。

こうした時間も、小学生にとって大切な時間だと思っています。

勉強なら、中学生や高校生になってからでもたくさんできます。

実際、私自身、本格的に受験勉強をするようになったのはずっと後です。

しかし、何の目的もなく友達と遊んだり、好きなことに何時間も夢中になったりできる時間は、成長するにつれて少なくなっていきます。

だから私は、

「将来のために、今できるだけ先の勉強をさせる」

ことだけが、子どもの将来への準備だとは思いません。

今しかできないことに夢中になる。

自分で面白いものを見つける。

失敗したり、工夫したり、また試したりする。

そうした経験もまた、長い目で見れば「学ぶ力」につながっていくのではないでしょうか。

先取り学習をすることによって、こうした時間まで削ってしまうのであれば、

「本当に今、先へ進む必要があるのか」

一度考えてみてもいいと思います。

では、先取り学習を検討してもいいのはどんな子か

一方で、先取り学習が合っている子もいると思います。

私の妻は、高校までずっと公立校で学び、現役で東京大学に合格しました。

妻は小学生の頃から勉強が好きで、学校の成績も良かったそうです。

そして、

「もっと勉強したい。もっといろいろなことを知りたい」

と思っていたそうです。

ところが、当時は何を勉強すればいいのか、どうすれば学校より先のことを学べるのかが分からなかったといいます。

これは、私の小学生時代とはかなり違います。

私は勉強よりも、外遊びやソフトボール、漫画を描くことなどに夢中になっていました。

妻は、勉強そのものが好きで、もっと学びたかった。

こういう子なら、親がその気持ちに気づいて、

問題集を用意する。

興味のある本を渡してみる。

通信教育を試してみる。

場合によっては塾などで、学校では扱わない問題に触れてみる。

そんな環境を用意してあげてもいいと思います。

大切なのは、

「小学○年生だから、ここまで先取りさせよう」

と親が決めることではありません。

子どもが今の勉強を十分理解していて、さらに、

「もっと知りたい」「もっとやってみたい」

という気持ちを持っているかどうか。

妻の話を聞いていると、むしろ、そういう子の「もっと学びたい」という気持ちに親が気づかず、何も選択肢を与えないのも、もったいないのかもしれないと思います。

先取り学習は、親が子どもを先へ引っ張っていくためのものではなく、

自分から先へ行きたがっている子に、進める道を用意するもの。

私は、そのくらいに考えるのがいいのではないかと思っています。

親の役割は、先へ進ませることではなく環境を用意すること

子どもの勉強について考えていると、親はつい、

「次はこれをやらせよう」

「もっと先まで進ませよう」

と考えてしまいます。

でも私は、親の役割は子どもを先へ引っ張ることではなく、

子どもが進みたくなったときに、進める環境を用意すること

ではないかと思っています。

妻のように、学校の勉強では物足りず「もっと学びたい」と思っている子なら、その気持ちに応えられる教材や本を用意する。

逆に、今の学校の勉強で十分で、ほかに夢中になっていることがある子なら、無理に先へ進ませない。

そして、苦手なところがあるなら、先へ進む前にそこを一緒に確認する。

同じ小学生でも、必要なものは違います。

だから、

「先取り学習をしたほうがいいか」

という問いに、すべての子どもに共通する答えはないと思います。

見るべきなのは、周りの子がどこまで進んでいるかではなく、目の前の自分の子どもが何を求めているかです。

親が先回りして道を決めるのではなく、子どもが興味を示したときに、

「こんな方法もあるよ」

と選択肢を見せてあげる。

そして本人がやってみたいと言ったら、その環境を用意する。

私は、そんな関わり方をしていきたいと思っています。

まとめ|先取りを急ぐより「もっと学びたい」を大切にする

小学生の先取り学習について考えると、

「周りの子より遅れたらどうしよう」

「今のうちに先へ進んだほうが、将来の受験で有利なのでは」

と不安になることがあります。

でも私は、先取り学習をすること自体を目的にする必要はないと思っています。

私自身、小学生時代に先取り学習をした記憶はありません。

塾にも通わず、外で遊び、ソフトボールをし、漫画を描くことなどに夢中になっていました。

それでも、その後必要になったときに勉強し、一浪して東京大学に進みました。

一方、妻は違いました。

妻は小学生の頃から勉強が好きで、学校の勉強もよくでき、もっと学びたいと思っていたのに、何をすればいいのか分からなかったそうです。

そして高校まで公立校で学び、現役で東京大学に合格しました。

夫婦二人の小学生時代を比べても、子どもによって必要な学び方は違うことが分かります。

だから大切なのは、

先取りを「させる」ことではなく、子どもが「もっと知りたい」と思ったときに、その気持ちに応えられること。

今の勉強を理解できているなら、無理に先へ進ませなくてもいい。

もっと学びたいなら、どんどん学べる環境を用意する。

苦手なところがあるなら、先取りより先にそこを補う。

小学生の算数についても、先取りより基本を大切にしたいと考えています。計算力と「考える力」について、私自身と息子の経験からこちらの記事で詳しく書きました。

「小学生の算数はどこまでできれば大丈夫?東大卒の父が考える「計算力」と「考える力」」

親が見るべきなのは、周りの子が何年先まで勉強しているかではなく、

自分の子どもが今、何を必要としているのか。

私は、先取り学習についても、そんなふうに考えています。

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