「東大に合格するような人は、高校時代ずっと勉強している」
私自身、東大へ入る前はそう思っていました。
だから高校では部活動に入らず、学校が終わると真っすぐ帰宅。
土日も長い時間、机に向かっていました。
「東大を目指すなら、勉強だけに集中するべきだ」
そう信じていたからです。
ところが、一浪して実際に東大へ入ってみると、私が想像していた東大生とは少し違いました。
もちろん、みんな勉強はよくします。
しかし、高校生活を勉強だけで過ごしてきた人ばかりではありませんでした。
部活動。
体育祭。
文化祭。
生徒会。
学校行事。
勉強以外の何かにも、本気で取り組んできた人が多かったのです。
むしろ高校時代に帰宅部で、受験のために勉強時間を増やそうとしていた私は、そのことに驚きました。
この記事では、高校時代に「勉強だけ」を選んだ私自身の失敗と、実際に東大へ入って感じた「東大生は勉強だけしている」というイメージとの違いについて書いてみます。
第1章 私は「東大に行くなら勉強だけ」と思っていた
私は中学3年生の頃、東京大学を目指すことを決めました。
そして高校へ進学するとき、部活動には入らないと決めました。
理由は単純です。
「部活をする時間があるなら、その分を勉強に使った方が東大に近づける」
そう考えたからです。
高校では授業が終わると、真っすぐ帰宅しました。
家へ帰れば勉強。
土日も長い時間、机に向かっていました。
高校1年生までは成績も順調でした。
一時は学年1位にもなりました。
「やはり勉強に時間を使った方がいい」
当時はそう思っていたのかもしれません。
ところが、高校2年生になる頃から息切れするようになりました。
毎日が学校と自宅の往復。
気分転換になるものもほとんどありません。
勉強時間だけは確保しているのに、集中力は少しずつ落ちていきました。
そして高校2年生以降は成績を落とし、現役の東大受験では不合格。
結局、一浪して東大に合格することになります。
今振り返ると、私は「勉強に使った時間が長ければ長いほど、合格に近づく」と考えすぎていたのだと思います。
第2章 努力は「質×量」だと思う
高校時代とは対照的に、中学校の3年間はとても忙しく過ごしていました。
私はバスケットボール部に所属し、生徒会にも入っていました。
朝練。
放課後の練習。
土日の試合や練習。
高校時代と比べれば、勉強に使える時間はずっと少なかったと思います。
それでも、中学3年間はとても充実していました。
勉強できる時間が限られているから、
「今日は何をやるのか」
「どこまで終わらせるのか」
を考えながら机に向かっていました。
そこで今、私が勉強について考えているのが、
努力=質×量
ということです。
もちろん、大学受験では勉強量が必要です。
ほとんど勉強せずに難関大学へ合格できる、という話ではありません。
しかし、どれだけ長時間机に向かっていても、集中していなければ成果は限られます。
高校時代の私は、「量」を増やすことばかり考えていました。
人の2倍、3倍勉強した日もあったかもしれません。
しかし、机に向かっていること自体が目的になり、集中力が落ちている時間も多かったと思います。
一方、中学時代は時間がないからこそ集中していました。
勉強時間を増やすことと、勉強の成果を増やすことは同じではない。
30年以上たった今なら、その違いがよく分かります。
第3章 東大に入って驚いた。勉強だけの人ばかりではなかった
一浪して東京大学に入学した私は、東大生について一つ驚いたことがありました。
高校時代を勉強だけで過ごしてきた人ばかりではなかったのです。
もちろん、東大に合格するのですから、みんな勉強はしています。
特に高校3年生になって受験が近づけば、本当によく勉強していたと思います。
しかし、高校3年間ずっと勉強だけをしていたという人は、私が想像していたより少数でした。
部活動に打ち込んでいた人。
体育祭に本気で取り組んでいた人。
文化祭を楽しんでいた人。
生徒会活動をしていた人。
それぞれ、勉強以外にも夢中になった経験を持っていました。
私は大学で格闘技の部活動に入りました。
そこでも、部員の多くは高校時代にスポーツや文化系の部活動に取り組んでいました。
高校時代に部活をせず、受験のために勉強時間を増やそうとしていた私は、むしろ少数派だったのです。
これは私にとって意外でした。
私は高校時代、
「東大に合格する人は、自分以上に勉強だけをしてきたはずだ」
と思っていたからです。
しかし、実際に出会った東大生たちの高校生活は、もっと幅のあるものでした。
第4章 勉強以外の経験は、勉強の邪魔なのか
私は今、部活動や学校行事に取り組む時間を、単純に「勉強できない時間」と考える必要はないと思っています。
スポーツに本気で取り組めば、うまくいかないことがあります。
仲間と意見が合わないこともあります。
試合に負けることもあります。
自分より上手な人にも出会います。
そこで、
「どうすれば上手くなるのか」
「なぜ失敗したのか」
「次はどうすればいいのか」
と考えます。
文化祭や体育祭、生徒会でも同じです。
自分一人ではなく、周囲の人と相談しながら一つのものを作っていく経験があります。
こうした経験が、そのまま大学受験の点数になるわけではありません。
しかし、
集中する力。
考える力。
時間を管理する力。
人と協力する力。
失敗しても、もう一度挑戦する力。
そうした力を育てる機会にはなると思います。
勉強以外の時間は、必ずしも勉強の邪魔ではない。
むしろ何かに本気で取り組んだ経験が、結果的に勉強にも生きることがある。
東大で多くの学生と出会って、私はそう考えるようになりました。
第5章 だから息子たちには「勉強だけ」をさせたくない
今、私は2人の小学生の息子を育てています。
家庭学習は、基本的に学校の宿題が中心です。
幼い頃は、毎週のように大きな公園へ連れて行きました。
小学校に入ってからも、サッカー、バスケットボール、体操、水泳、剣道など、さまざまなスポーツを経験してきました。
放課後には、友達と公園や広場で遊びます。
親が決めた予定ではなく、自分たちで友達を誘い、何をして遊ぶかを決めています。
私は、そういう時間も子どもの成長にとって大切だと思っています。
勉強が大切ではないという意味ではありません。
基礎学力は必要ですし、将来、本気で大学受験をするなら勉強しなければなりません。
ただ、小学生の頃から「将来の受験に役立つかどうか」だけで、子どもの時間を判断したくはありません。
スポーツに夢中になる。
友達と遊ぶ。
負けて悔しがる。
うまくいかなくて工夫する。
仲間とけんかをして、また仲直りする。
そうした経験は、問題集では身につけられないものです。
そして私自身、東大へ入ってみて、勉強以外のことにも本気で取り組んできた学生が多いことを知りました。
だから息子たちにも、今しかできない経験をたくさんしてほしいと思っています。
まとめ|東大生は「勉強だけ」をしてきた人ではなかった
高校時代の私は、東大へ合格するためには、できるだけ多くの時間を勉強に使うべきだと思っていました。
そのため部活動には入らず、学校と自宅を往復し、長い時間机に向かいました。
しかし高校2年生頃から息切れし、現役では東大に合格できませんでした。
一方、実際に東大へ入ってみると、私が想像していた世界とは違いました。
部活動。
体育祭。
文化祭。
生徒会。
勉強以外のことにも本気で取り組んできた学生が、たくさんいました。
もちろん、東大に合格するためには勉強が必要です。
しかし、
「勉強以外のことをする時間=受験にとって無駄な時間」
ではないと私は思っています。
努力は、単純に机に向かった時間だけでは測れません。
私が今でも大切だと思っているのは、
努力=質×量
という考え方です。
長い時間をかけることも必要です。
しかし、その時間をどれだけ集中して使えるかも同じくらい大切です。
そして人生というもっと長い視点で見れば、勉強以外の経験から身につくものもたくさんあります。
東大に入ることが人生のゴールではありません。
仲間と協力する力。
失敗から立ち直る力。
自分で考えて行動する力。
何かに本気で打ち込む力。
私は、そうした力も子どもたちには身につけてほしいと思っています。
東大生は、勉強だけをしてきた人たちではありませんでした。
勉強以外にも本気になれるものを持っていた。
それが、実際に東大へ入った私が知ったことの一つです。
東大受験について、私自身が経験して分かった「10の誤解」は、こちらの記事にまとめています。


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