「地方の高校から東大を目指すのは不利なのでは?」
「東京なら有名な進学塾もたくさんあるけれど、地方には受験情報も少ない」
地方から難関大学を目指すとき、そう感じる人もいると思います。
私は、中国地方の人口1万人ほどの町で育ちました。
公立小学校、公立中学校、公立高校へ進学。
高校卒業まで塾には通わず、現役で東大に不合格になったあと、一浪して東京大学に合格しました。
浪人時代には、自宅から約1時間かけて県庁所在地の予備校へ通っていました。
そして現在は東京で暮らしています。
地方で受験した経験と、東京で生活している今の両方から考えると、東京には確かに地方にはない受験環境のメリットがあります。
しかし私は、自分の受験を振り返って、
「地方だったから東大受験で不利だった」
と感じたことはありません。
むしろ今になって、地方だからこそ良かった部分もあったと感じています。
この記事では、地方から東大を受験した私自身の経験から、地方と都会、それぞれの受験環境について考えてみます。
第1章 東京には確かに受験で有利な環境がある
地方から東大を受験した私ですが、東京と地方の受験環境にまったく差がないとは思っていません。
東京には、地方にはないメリットがあります。
有名な進学塾や予備校が数多くある。
大型書店へ行けば、たくさんの参考書を実際に手に取って比較できる。
東大模試などの会場へ行きやすい。
そして東京大学そのものが近いため、オープンキャンパスや入試本番でも移動の負担が少ない。
また、難関大学を目指す同級生が多い学校なら、受験に関する情報も自然と入ってくるでしょう。
私が育った環境とは大きく違います。
私の高校では、担任の先生から、
「この高校から東大に合格するのは、10年に1人くらいだ」
と言われたこともありました。
身近に東大を受験した人もほとんどいませんでした。
現在、東京で生活しているからこそ、受験環境という意味では東京にメリットがあることはよく分かります。
ただし、環境が便利であることと、実際に学力が伸びることは同じではありません。
地方で育った私には、当時は気づかなかった別のメリットもありました。
第2章 地方の「選択肢の少なさ」は弱点だけではなかった
私が地方で育って良かったと感じることの一つが、
「誘惑や選択肢が少なかったこと」
です。
私が育ったのは、人口1万人ほどの小さな町です。
放課後に立ち寄るような繁華街もありません。
友達と遊ぶ。
部活動をする。
家へ帰る。
選択肢は、とてもシンプルでした。
当時は何とも思っていませんでしたが、東京で生活するようになった今、この「選択肢の少なさ」は必ずしも悪いことではなかったと思うようになりました。
例えば、スーパーです。
私は普段、近所の小さなスーパーで買い物をします。
どこに何があるか分かっているので、必要なものを買えば数分で終わります。
ところが大型スーパーへ行くと、珍しい商品や総菜がたくさんあります。
見ているだけでも楽しい。
その一方で、気がつけばかなり時間がたっています。
私は、参考書選びにも似たところがあると思っています。
大型書店には、魅力的な参考書や問題集が何百冊も並んでいます。
「こっちの方がいいのでは?」
「この問題集もやった方がいいのでは?」
と迷い始めれば、きりがありません。
一方、私が高校生だった頃の地方では、選択肢そのものが多くありませんでした。
だからこそ、手元にある一冊を繰り返し使う。
これは受験勉強では、意外に大きなメリットだったのではないかと思っています。
新しい教材を次々に探すことより、今持っている教材をきちんと理解する。
選択肢が少なかったからこそ、一つのことに集中できた。
今振り返ると、地方にはそんな強みもあったと思います。
第3章 東大受験で必要な勉強は、東京でも地方でも変わらない
東大受験というと、特別な教材や特別な授業が必要だと思うかもしれません。
しかし、私自身が受験して感じたのは、結局やるべきことはとても基本的だということです。
教科書で基礎を理解する。
問題を解く。
分からなければ、もう一度基礎へ戻る。
間違えたら、なぜ間違えたのかを考える。
そして、もう一度解く。
この繰り返しです。
これは、東京に住んでいても地方に住んでいても変わりません。
私自身、高校卒業まで塾には通いませんでした。
学校の授業と教科書を中心に勉強し、現役では東大に不合格になりましたが、一浪して合格しました。
浪人して予備校へ通ってからも、分からないところがあれば何度も教科書へ戻りました。
予備校へ行けば、東大に合格するための「魔法の知識」が教えてもらえるわけではありません。
結局は、自分が理解できていないところを見つけ、一つずつ埋めていくしかありません。
この作業に、住んでいる場所は関係ありません。
東京に住んでいるだけで問題が解けるようになるわけではない。
地方に住んでいるから、基礎を身につけられないわけでもない。
最後に必要なのは、自分自身がどれだけ学力を積み上げられるかだと思っています。
第4章 それでも地方には不利な点がある
もちろん、地方からの大学受験に不便なことがないわけではありません。
私自身も経験しました。
浪人時代は、県庁所在地にある予備校まで自宅から約1時間かけて通っていました。
模試を受けるにも移動が必要です。
東大を受験するとなれば、東京まで行かなければなりません。
そして、私が特に大きかったと思うのは、身近に東大受験を経験した人がほとんどいなかったことです。
「高校1年生では、何をしておけばいいのか」
「高校2年生で、この成績なら大丈夫なのか」
「東大を受けるなら、いつまでに何をできるようにすればいいのか」
そうした受験までの道筋が、私にはよく分かりませんでした。
東京の進学校や有名進学塾には、長年蓄積された受験情報があります。
これは地方の受験生にとって、大きな差になり得ると思います。
ただし、私が受験した30年以上前と現在では、状況が大きく変わりました。
今はインターネットがあります。
大学の入試情報は自宅から確認できます。
学習動画やオンライン授業もあります。
参考書や問題集も、インターネットで注文できます。
地方に住んでいるから、必要な情報や教材そのものにアクセスできないという時代ではなくなりました。
もちろん、東京と地方の受験環境の差が完全になくなったわけではありません。
それでも、私が受験した時代より、その差を埋める手段ははるかに増えていると思います。
第5章 地方か都会かより大切なこと
私は、地方だから東大へ行けたとは思っていません。
もちろん、都会だから東大へ行けるとも思っていません。
東京には、受験情報の多さや塾・予備校の選択肢、移動の便利さといった強みがあります。
一方、地方には、誘惑や選択肢が少なく、一つのことに集中しやすいという強みもあります。
大切なのは、
「どちらが有利なのか」を考え続けることではなく、「今いる環境で何ができるのか」を考えること
だと思っています。
地方に住んでいるなら、手元にある教科書や参考書を徹底的に使う。
必要な情報がなければ、自分で調べる。
分からないことがあれば、先生に聞く。
必要なら、オンラインの教材や授業を利用する。
そして、自分に足りないものを一つずつ埋めていく。
東京に住んでいたとしても、結局やるべきことは同じです。
どれほど恵まれた環境にいても、本人が勉強しなければ学力は伸びません。
逆に、地方にいても、必要な勉強を一つずつ積み重ねていけば、難関大学を目指すことはできます。
環境の違いはあります。しかし、環境だけで合否が決まるわけではありません。
自分にないものを数えるより、今あるものをどう使うか。
私は、その方がずっと大切だと思っています。
まとめ|地方からでも東大は目指せる
私は、中国地方の人口1万人ほどの町で育ちました。
公立小学校、公立中学校、公立高校へ進み、高校卒業まで塾には通いませんでした。
現役では東大に不合格。
その後、自宅から約1時間かけて予備校へ通い、一浪して東京大学に合格しました。
東京には、地方にはない受験環境のメリットがあります。
それは事実だと思います。
しかし、地方にも地方の良さがあります。
そして現在は、私が受験した30年以上前よりも、地方にいながら情報や教材へアクセスする手段が増えています。
だから、
「地方に住んでいるから、東大は無理だ」
と最初からあきらめる必要はないと思います。
教科書を理解する。
問題を解く。
間違えた原因を考える。
基礎へ戻る。
そして、また挑戦する。
その積み重ねは、東京でも地方でも変わりません。
住んでいる場所を変えられなくても、自分の勉強は変えられます。
東大までの距離は、東京からでも、地方からでも同じです。
最後に差をつけるのは、住む場所ではなく、毎日の積み重ねだと私は思っています。
東大受験について、私自身が経験して分かった「10の誤解」は、こちらの記事にまとめています。


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