「大学受験を考えたら、部活はやらない方が有利なのでは?」
「部活に使う時間を勉強に回した方が、難関大学に合格しやすいのでは?」
中学3年生だった私は、まさにそう考えていました。
当時、私は東京大学を目指すことを決めていました。
そして高校へ進学するとき、一つの決断をしました。
「東大を目指すなら、高校では部活動をやらない。」
中学校では3年間バスケットボール部に所属していましたが、高校では部活に入りませんでした。
少しでも勉強時間を増やした方が、東大合格には有利だと思ったからです。
しかし、あれから30年以上たった今、私は当時の自分に伝えたいことがあります。
「高校でも部活を続けた方が良かった。」
部活をしなければ、確かに自由な時間は増えます。
しかし、「勉強できる時間が増えること」と「勉強の成果が上がること」は、必ずしも同じではありませんでした。
この記事では、中学では部活と勉強を両立し、高校では東大受験を優先して部活をやめた私自身の経験から、大学受験と部活動について考えてみます。
第1章 中学ではバスケ部と勉強を両立していた
私は中学校の3年間、バスケットボール部に所属していました。
朝練があり、放課後にも練習があり、土日には練習試合もありました。
決して時間に余裕のある生活ではありません。
それでも、家へ帰れば勉強していました。
むしろ今振り返ると、勉強できる時間が限られていたからこそ、集中していたように思います。
「試験まであと何日あるのか」
「今日は何をやらなければならないのか」
「この時間で、どこまで終わらせるのか」
自然と優先順位を考えるようになりました。
中学3年生になると、後輩たちも上手くなってきます。
「負けたくない」
その気持ちでバスケットボールにも必死に取り組みました。
当然、勉強だけに使える時間は減ります。
しかし、時間が足りないからこそ、限られた時間をどう使うかを考える習慣が身についたのだと思います。
第2章 高校で部活をやめたら、勉強時間は増えた
中学3年生の頃、私は東大を目指すことを決めました。
そして高校進学を前に、
「東大へ行くなら、部活動はやらない」
と決めました。
理由は単純です。
部活をしなければ、その分だけ勉強時間を増やせる。
勉強時間が増えれば、東大へ合格する可能性も高くなる。
当時の私は、そう考えていました。
高校へ入ると、予定どおり部活動には入りませんでした。
授業が終われば、そのまま帰宅できます。
中学生の頃と比べれば、自由に使える時間はかなり増えました。
ところが、ここで予想していなかったことが起こります。
時間は増えたのに、必ずしも勉強の質は上がらなかったのです。
「今日は時間がたくさんある」
そう思うと、長時間机には向かっていても、集中できていないことがありました。
中学時代は部活があるからこそ、「今やらなければ」と集中できた。
高校では時間に余裕があるから、「あとでもできる」となってしまう。
今振り返ると、私は「勉強時間の長さ」と「勉強の質」を同じものだと考えていたのだと思います。
部活をやめれば時間は増えます。
しかし、増えた時間を有効に使えるとは限りません。
このことに、私は高校生のときには気づいていませんでした。
第3章 部活動で身についたのは体力だけではなかった
部活動で得られるものは、体力だけではありません。
バスケットボールが上手くなるためには、毎日のように考えます。
どうすればドリブルが上手くなるのか。
どうすればシュートが入るのか。
どうすれば試合に勝てるのか。
うまくいかなければ、練習方法を変える。
試合で負ければ、何が足りなかったのかを考える。
そして、また練習する。
今振り返ると、この繰り返しは勉強にもよく似ています。
問題が解けない。
なぜ解けなかったのかを考える。
基礎へ戻る。
もう一度挑戦する。
「失敗する → 考える → 修正する → もう一度やる」
この習慣は、スポーツでも勉強でも同じだと思います。
中学時代には、今でも忘れられない一学年上の先輩がいました。
バスケットボール部のキャプテンです。
決して大柄な選手ではありませんでした。
しかし、華麗なドリブルと高いシュート力を持っていました。
口数は少ないのですが、誰よりも真剣に練習していました。
私は、その先輩の姿を見ながら、
「上手くなる人は、こういう姿勢で努力するんだ」
と感じていました。
言葉で教えてもらったというより、背中を見て学んだのだと思います。
こういう経験も、部活動をしていなければ得られなかったものです。
第4章 東大受験を優先した私が、今になって後悔していること
高校生だった私は、
「東大へ行くには、勉強だけに集中した方がいい」
と考えていました。
しかし今振り返ると、高校でも部活動を続けていた方が良かったと思っています。
もちろん、部活を続けていたら東大に現役合格できた、という意味ではありません。
そんなことは誰にも分かりません。
むしろ私が後悔しているのは、大学受験のために、高校生活の選択肢を自分で狭めてしまったことです。
部活をしなかったことで、勉強できる時間は増えました。
しかし、その時間を常に有効に使えたわけではありません。
そして高校時代にしか経験できない、仲間と一緒に一つの目標へ向かって努力する時間を、自分から手放しました。
もし高校入学直前の自分に会えるなら、私はこう言うと思います。
「受験は短距離走じゃない。」
「3年間ずっと全力疾走する必要はない。」
「高校でも部活を続けてみたらどうだ。」
当時の私は、大学受験から逆算して高校生活を考えすぎていました。
でも高校生活そのものも、一度しかありません。
30年以上たった今だからこそ、そのことを強く感じます。
第5章 部活は本当に大学受験に不利なのか
もちろん、部活動をすれば勉強に使える時間は減ります。
全国大会を目指すような強豪校や、練習時間が非常に長い部活動なら、受験勉強との両立が難しくなることもあるでしょう。
競技や学校によって事情も違います。
ですから私は、「大学受験をするなら絶対に部活を続けるべきだ」と言いたいわけではありません。
ただ、「部活の時間=受験にとって無駄な時間」と考える必要もないと思っています。
部活動では、
体力。
集中力。
時間管理。
仲間との協力。
先輩や後輩との関係。
努力を継続する力。
うまくいかなかったときに、考えて修正する力。
こうしたものを学ぶことができます。
そして、これらは大学受験にも、その後の人生にも役立つ力だと思います。
私自身、中学時代は部活があったからこそ、限られた勉強時間を大切にしていました。
高校では部活をやめ、勉強時間そのものは増えました。
しかし、時間が増えれば、そのまま学力が伸びるわけではありませんでした。
だから私は今、「受験に不利だから」という理由だけで、好きな部活動をあきらめる必要はないと考えています。
第6章 もし息子から「受験のために部活を辞めたい」と言われたら
今、私は2人の小学生の息子を育てています。
もし将来、息子から、
「大学受験のために部活を辞めようかな」
と相談されたら、どう答えるだろうか。
私は、おそらくこう話します。
「パパは東大受験を優先して、高校では部活をやらなかった。でも今振り返ると、部活を続けた方が良かったと思っている。その経験だけは伝えておくよ。」
ただし最後は、
「あとは自分で決めなさい」
と言うと思います。
部活を続けるのか。
受験勉強を優先するのか。
どちらが正解かは、本人の目標や状況によって違います。
親が答えを決めるのではなく、自分で考えて選んでほしい。
そして、自分で決めたことなら、その結果も含めて経験してほしいと思っています。
まとめ|部活は「受験の敵」とは限らない
私は中学3年間、バスケットボール部で過ごしました。
そして高校では、東大受験を優先して部活動をやりませんでした。
当時は、それが東大合格への近道だと思っていました。
しかし今は、高校でも部活動を続ければよかったと思っています。
勉強は、時間の長さだけで決まるものではありません。
限られた時間だからこそ集中できることもあります。
部活動を通じて、時間の使い方や努力の仕方を学ぶこともあります。
そして何より、高校時代に仲間と本気で一つのことに取り組む経験は、その時にしかできないかもしれません。
勉強は、あとから取り戻せることがあります。
しかし、仲間と汗を流し、悔しい思いをし、一つの目標に向かって努力した高校時代そのものは、あとからやり直すことができません。
だから私は、
「部活をやると大学受験に不利」
と単純に考える必要はないと思っています。
大学合格だけから高校生活を逆算するのではなく、その3年間をどう過ごしたいのか。
それも同じくらい大切ではないでしょうか。
東大受験について、私自身が経験して分かった「10の誤解」は、こちらの記事にまとめています。
→ 地方公立高校から東大へ|塾なし・一浪で合格した私が考える10の誤解
東大を目指す場合、「部活を続けると受験に不利なのか」「いつまで続けていいのか」と悩む人もいると思います。高校では部活をしなかった私自身の現役不合格の経験から、こちらの記事で詳しく考えました。


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