「東大を目指すなら、中学受験をしたほうがいいのだろうか?」
小学生の子どもを持つ親なら、一度は考えることがあるかもしれません。
実際、東大には中高一貫校や有名進学校から多くの生徒が進学しています。
そうした実績を見ると、
「やっぱり、小学生のうちから中学受験をしたほうが有利なのでは?」
と思うのは自然なことだと思います。
でも、私は中学受験をしていません。
中国地方の田舎町で育ち、
公立小学校 → 公立中学校 → 地方の公立高校
と進みました。
高校までは塾にも通っていません。
現役では東大に不合格でしたが、一年間の浪人生活を経て、東大に合格しました。
だからといって、
「中学受験なんて必要ない」
と言うつもりはありません。
中高一貫校には、
・大学受験を見据えた学習環境
・難関大学を目指す仲間
・学校独自の教育や行事
・充実した部活動
など、公立中学校にはない魅力もあるでしょう。
一方で、私自身の経験から強く思うことがあります。
それは、
「東大に行くため」という理由だけで、中学受験をする必要はない
ということです。
東大への道は、中学受験をした子だけに開かれているわけではありません。
そして私は、それ以上に、
「そもそも、何のために中学受験をするのか」
を考えることが大切だと思っています。
大学進学のためなのか。
学校の教育方針に魅力を感じるからなのか。
やりたい部活動があるからなのか。
それとも、周囲の友達が受験するからなのか。
目的によって、中学受験の意味は大きく変わります。
この記事では、公立中・公立高から東大に進んだ私自身の経験をもとに、
東大を目指すうえで中学受験は本当に必要なのか。
そして、
中学受験を考えるとき、親は何を大切にすればいいのか。
について考えてみたいと思います。
東大に行くために、中学受験は必須ではない
まず、私自身の経験だけを見れば、答えは明確です。
東大に行くために、中学受験は必須ではありません。
私は中学受験をしていません。
地元の公立中学校に進み、そのまま地方の公立高校へ進学しました。
高校で東大を志望したとき、担任の先生から、
「この高校では10年に一人のレベル」
と言われたことを覚えています。
周囲に東大を目指す同級生がたくさんいたわけでもありません。
東大受験に特化した授業があったわけでもありません。
それでも、現役では不合格だったものの、一年間浪人して東大に合格することができました。
もちろん、これは私一人の経験です。
私が公立中・公立高から東大に合格したからといって、
「公立でも私立でも条件はまったく同じ」
ということにはなりません。
中高一貫校には、大学受験を考えるうえで有利な点もあると思います。
ただ、
「東大合格者に中高一貫校の出身者が多い」ことと、「東大に行くためには中学受験が必要」ということは別の話です。
中学受験をしなくても、その後に本人が東大を目指したいと思えば、そこから勉強することはできます。
少なくとも私は、そうやって東大に進みました。
だから、小学生の段階で、
「中学受験をしなかったら、将来東大には行けなくなる」
と考える必要はないと思っています。
むしろ次に考えたいのは、
それでも、なぜ東大合格者には中高一貫校出身者が多いのか。
ということです。
地方の公立高校から東大を目指したときに感じた難しさについては、こちらの記事に詳しく書いています。
→ 地方公立高校から東大を目指すのは無謀?実際に合格した私が振り返って思うこと
それでも中高一貫校には、大学受験で有利な面がある
中学受験が東大合格に必須ではないからといって、
「中学受験をするメリットはない」
とは思っていません。
大学受験という点だけを考えれば、中高一貫校には有利な面があると思います。
例えば、学校によっては中学・高校の6年間を一体として考えたカリキュラムを組み、高校の学習内容に早く進むことがあります。
また、周囲に難関大学を目指す生徒が多ければ、
「東大を目指す」
ということ自体が特別ではない環境になります。
これは、私が高校生だったころとは大きく違います。
私の高校では、東大を目指すこと自体が珍しいことでした。
一方、東大に入学してから同級生に受験の話を聞くと、
「小学生のときが一番勉強した」
という学生が何人もいました。
中学受験でしっかり勉強し、その後は中高一貫校の環境の中で大学受験の準備を進めてきたのでしょう。
そうした環境には、確かにメリットがあると思います。
学校側に難関大学受験の経験が蓄積されている。
周囲に同じ目標を持つ仲間がいる。
大学受験に必要な情報も入りやすい。
学習を進めるペースも速い。
こうした違いは無視できません。
だから私は、
「公立中学校でも東大に行けるのだから、中学受験には意味がない」
とは考えていません。
ただし、ここで一つ考えたいことがあります。
大学受験で有利になることと、その子にとって中学受験をすることが最善であることは、同じではないと思うのです。
小学生には、勉強以外にも使える時間があります。
スポーツをする。
友達と遊ぶ。
本を読む。
好きなことに夢中になる。
何もしないで過ごす時間もあるでしょう。
その時間の一部を使って中学受験に挑戦するのであれば、
「何のために中学受験をするのか」
を一度考えてみてもいいのではないでしょうか。
私が中学受験で一番気になるのは「何のために受験するのか」
私が中学受験について考えるとき、一番気になるのは、
「何のために、その学校を受験するのか」
ということです。
例えば、
「この学校の教育を受けたい」
「この部活動を本気でやりたい」
「この学校でしかできないことに挑戦したい」
と本人が思っているのであれば、中学受験には大きな意味があると思います。
私自身、息子たちが将来、
「どうしてもこの中学校に行きたい」
という理由を見つけたなら、その気持ちは大切にしたいと思っています。
一方で、私が少し疑問に感じるのは、
「将来、難関大学に入りやすくするため」だけを理由に、小学生のうちから多くの時間を受験勉強に使うことです。
わが家の周囲でも、小学校の低学年から塾に通う子がいます。
高学年になると、受験勉強のために、それまで続けていたスポーツや遊びの時間を減らす子もいます。
もちろん、それを本人が望んでいるのであれば、一つの選択です。
中学受験そのものにも、目標に向かって努力する、計画を立てて勉強する、結果を受け止めるといった経験があります。
だから、中学受験をすること自体を否定するつもりはありません。
ただ私は、
「周りが受験するから」
「今からやらないと将来困るから」
「難関大学に入るには、この道が一番確実だから」
という理由だけで、親が先に子どもの進む道を決めることには慎重でありたいと思っています。
私は浪人して東大に入りました。
決して効率のいい道ではありません。
それでも、自分で東大を目指すと決め、うまくいかなければ考え直し、もう一年挑戦した経験は、その後の自分にとって大きなものになりました。
だから息子たちにも、
「どの学校に入るか」だけではなく、「自分で進む道を選ぶこと」
を大切にしてほしいと思っています。
小学生の時間を、受験勉強だけで考えたくない
以前、長男が所属するサッカーチームに、中学受験のためにサッカーを辞めた小学5年生がいました。
その子はその後、第一志望の難関中学校に合格しました。
目標を決め、そのために好きなことをいったん我慢して努力し、結果を出した。
それは立派なことだと思います。
ただ、当時の私は、
「中学受験のために、小学生が2年間も好きなサッカーをやめるのか」
と驚きました。
もちろん、どちらが正解という話ではありません。
受験を優先したい子もいるでしょう。
スポーツを続けたい子もいるでしょう。
両立できる子もいると思います。
ただ、私自身は、小学生の時期には受験勉強以外にも大切な経験がたくさんあると考えています。
わが家の息子たちは、放課後に友達と校庭で遊びます。
鬼ごっこをする。
ドッジボールをする。
バスケットボールをする。
ハンドベースやキックベースをする。
そこには塾のようなカリキュラムはありません。
誰かに、
「今日はこれをやりなさい」
と決められるわけでもありません。
自分たちで何をして遊ぶかを決め、ルールを考え、ときには意見がぶつかり、それでも一緒に遊びます。
私は、こういう時間も子どもが成長する大切な時間だと思っています。
もちろん、受験勉強からも学べることはあります。
目標に向かって努力する。
できない問題を考える。
計画的に勉強する。
そうした経験にも価値があります。
だから、
「受験勉強より外遊びのほうが大切」
と単純に比べる必要はないと思います。
私が考えたいのは、
小学生の限られた時間を、将来の大学受験だけを基準にして決めなくてもいいのではないか
ということです。
勉強する時間もある。
友達と遊ぶ時間もある。
スポーツに夢中になる時間もある。
何か好きなものを見つける時間もある。
その中で、本人が本当に中学受験をしたいと思ったなら、その挑戦を応援する。
私は、そんな順番でいいのではないかと思っています。
公立中学校で過ごしたことも、私にとっては一つの経験だった
私は地元の公立中学校に通いました。
そこには、本当にいろいろな生徒がいました。
勉強が得意な子。
スポーツが得意な子。
おとなしい子。
やんちゃな子。
家庭環境も、将来についての考え方も、それぞれ違いました。
今振り返ると、私にとって公立中学校は、いろいろな人がいる社会を初めて身近に経験した場所だったように思います。
もちろん、良い思い出ばかりではありません。
当時、学校にはかなり荒れている上級生もいました。
私自身、理不尽な目に遭ったことがあります。
その経験を「して良かった」と言うつもりはありません。
安全で安心して学校生活を送れることは、何より大切です。
ただ、その経験をしたことで、
「誰かが困っているとき、自分はどうするのか」
を考えるようになったのも事実です。
自分が上級生になったときには、
「同じようなことが目の前で起きたら、見ているだけにはなりたくない」
と思うようになりました。
これは、公立中学校だから得られる経験だと言いたいわけではありません。
私立にもさまざまな生徒がいますし、公立学校の環境も地域や学校によって大きく違います。
ただ私の場合は、地元の公立中学校で、勉強だけではないさまざまな経験をしました。
そして今振り返ると、
どの学校に進むかだけで、子どもの人格や将来が決まるわけではない
と思っています。
私立中学校にも、公立中学校にも、それぞれの環境があります。
大切なのは「どちらに行けば立派な人間になれるか」ではなく、
その環境の中で、本人が何を経験し、何を考え、どう成長していくか
なのではないでしょうか。
わが家が今のところ中学受験を考えていない理由
現在、わが家には小学5年生と小学3年生の息子がいます。
周囲には中学受験をする家庭も多く、塾に通っている友達もいます。
それでも今のところ、長男も次男も、
「中学受験をしたい」
とは言っていません。
そして私たち夫婦も、子どもたちに中学受験をさせる必要性を感じていません。
理由はシンプルです。
公立中学校に進んでも、本人が学びたいと思ったときに勉強することはできる
と考えているからです。
私自身がそうでした。
小学生のころから東大を目指して勉強していたわけではありません。
中学受験もしませんでした。
地方の公立中学校、公立高校へ進み、その後、自分で東大を目指しました。
遠回りもしました。
現役では不合格になり、一年間浪人しました。
でも私は、その遠回りを「失敗だった」とは思っていません。
だから息子たちにも、
将来の選択肢を増やすために、今から一番効率のいいルートを親が用意してあげなければならない
とは考えていません。
もちろん、これから息子たちの考えが変わる可能性はあります。
行きたい中学校が見つかるかもしれません。
やりたい部活動が、その学校にしかないかもしれません。
「この学校で学びたい」と本人が思うこともあるでしょう。
そのときは、なぜそこに行きたいのかを一緒に考えたいと思っています。
私が大切にしたいのは、
中学受験をするか、しないかを親が先に決めることではありません。
子ども自身が、
「自分は何をやりたいのか」
「どこに行きたいのか」
を少しずつ考え、自分で選んでいくことです。
中学受験をすることが、その子にとって必要なら挑戦すればいい。
必要でなければ、公立中学校へ進めばいい。
私は、
「東大に行くなら中学受験」
という一つのルートだけを、子どもに示す必要はないと思っています。
中学受験をしない小学生の家庭学習や、通信教育をどう考えるかについては、こちらの記事でも詳しく書いています。
→ 中学受験しない小学生に通信教育は必要?東大卒の父が考える家庭学習の選び方
まとめ|大切なのは、中学受験をするかどうかより「自分で選ぶこと」
東大に行くために、中学受験は必要なのか。
私自身の経験から言えば、
中学受験は必須ではありません。
私は中学受験をせず、公立中学校、地方の公立高校へ進み、一年間の浪人を経て東大に合格しました。
一方で、中高一貫校には大学受験を考えるうえで有利な面もあります。
難関大学を目指す仲間がいる。
受験に関する情報や経験が蓄積されている。
6年間を見通して学習を進められる学校もある。
そうした環境を求めて中学受験をすることも、一つの選択だと思います。
だから私は、
「中学受験をするべきか、しないべきか」
という二択で考える必要はないと思っています。
それよりも大切なのは、
「何のために中学受験をするのか」
ではないでしょうか。
本人が行きたい学校がある。
そこでやりたいことがある。
挑戦してみたいと思っている。
それなら、その挑戦には大きな意味があると思います。
一方で、
「みんなが受験するから」
「難関大学に行くなら中学受験をしたほうが安心だから」
という理由だけなら、一度考えてみてもいいのではないでしょうか。
小学生には、小学生の今だからできることもあります。
勉強する。
スポーツをする。
友達と遊ぶ。
好きなことに夢中になる。
失敗する。
そして、自分で考える。
私は、そうした経験を積み重ねながら、子ども自身が少しずつ自分の進む道を選べるようになってほしいと思っています。
自分の人生なのだから、自分で決める。
そして、
選んだ道が正解だったかどうかをいつまでも悩むのではなく、選んだ道を正解にするように頑張る。
息子たちには、そんなふうに自分の人生を歩んでほしい。
だから今のわが家では、中学受験を予定していません。
でも、いつか本人が自分なりの理由を持って、
「この学校に行きたい」
と言ったなら、そのときは一緒に考えたいと思っています。
中学受験をするかどうか。
その答えは、親の中に最初からあるのではなく、子ども自身が成長していく中で見つけていくものなのかもしれません。


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