「東大に合格するような子は、小学生の頃からずっと成績トップなのでは?」
「学校で1位にもなれないのに、東大なんて目指せるの?」
そう思う人もいるかもしれません。
私自身、中学3年生で東大を意識するようになった頃、同じように考えていました。
「東大に入るには、学校で圧倒的な1位を取り続けなければならない」
しかし、実際の私はまったく違います。
小学生の頃は学校の宿題以外、ほとんど勉強していません。
中学校では外部の実力テストでいつも2位。
高校入学直後は学年10位前後。
高校1年生では一度学年1位になりましたが、その後は成績を落とし、高校2年から卒業まで理系トップ3にも入りませんでした。
現役時代の東大模試はE判定以下になることもあり、東大には不合格。
それでも、一浪して東京大学に合格しました。
振り返ってみると、私を苦しめたものの一つが、「1位でなければ東大には行けない」という思い込みだったと思います。
この記事では、自分自身の失敗も含めて、東大受験と「学校の順位」について書いてみます。
第1章 小学生の私は「天才少年」ではなかった
私は、中国地方にある人口1万人ほどの小さな町で生まれ育ちました。
通っていたのは、地元の公立小学校です。
小学生の頃は、学校から出された宿題以外、ほとんど勉強していませんでした。
塾にも通っていません。
自分が学年で何位なのか、考えたことすらありませんでした。
同じ小学校には、中学受験をして隣町の私立中学校へ進学した同級生が3人いました。
受験に向けて勉強していた彼らは、当時の私より勉強ができたと思います。
私は中学受験をせず、そのまま地元の公立中学校へ進みました。
つまり、小学生の私は、周囲を圧倒するような「天才少年」でも、地域で一番勉強のできる子でもありませんでした。
少なくとも小学生の時点では、後に東大へ進学することを予想させるような特別な存在ではなかったと思います。
第2章 中学校でも高校でも、ずっと1位ではなかった
中学校へ入ると、定期テストで学年1位を取ることはありました。
しかし、外部の実力テストでは、いつも2位でした。
どんな試験でも圧倒的な1位を取り続けるような生徒ではありませんでした。
高校受験では、隣の市にある県立高校の普通科を受験しました。
難関私立高校を何校も受験したわけでも、県内最難関とされる高校へ進学したわけでもありません。
そして高校へ入学して、最初に受けた試験。
私の順位は学年10位前後でした。
複数の中学校から成績上位者が集まってくる高校だったので、それまでより順位が下がるのは当然だったと思います。
ここでも、私は最初から1位だったわけではありません。
ところが高校1年生のとき、私は学年1位になります。
普通なら、これは自信につながる出来事だったのかもしれません。
しかし私の場合は、この「学年1位」へのこだわりが、その後自分を苦しめることになりました。
第3章 「東大に行くなら、ぶっちぎりの1位」と思い込んだ
私が東大を意識し始めたのは、中学3年生の頃です。
しかし、身近に東大受験について教えてくれる人はいませんでした。
私は人口1万人ほどの田舎町で育ちました。
両親はともに高卒。姉2人も、長女は短大卒業後、次女は高校卒業後に社会へ出ています。
家は裕福ではなく、身近に東大を受験した人もいませんでした。
進学した高校も、毎年何十人もの東大合格者を出すような進学校ではありません。
担任の先生から、
「この高校から東大に合格するのは、10年に1人くらいだ」
と言われたこともあります。
そんな環境にいた私は、
「この高校から東大に入るなら、学校でぶっちぎりの1位にならなければならない」
と思い込むようになりました。
そして高校1年生で、実際に学年1位を取ります。
ところが、ここからが問題でした。
「1位になれた」という自信よりも、
「これからも1位でいなければ東大には行けない」
というプレッシャーの方が大きくなっていったのです。
第4章 「1位でなければ意味がない」が私を苦しめた
今振り返ると、問題だったのは、高い目標を持ったことではありません。
東大合格までの道筋を、私がまったく知らなかったことです。
高校1年生の時点で、何ができていれば十分なのか。
高校2年生では、どの程度の問題を解ければいいのか。
学校内の順位と、全国での実力をどう考えればいいのか。
私には分かりませんでした。
塾にも通っていなかったので、自分が判断材料にできる分かりやすい数字は、学校の順位くらいでした。
その結果、
「1位なら東大へ近づいている」
「1位から落ちたら東大から遠ざかっている」
と考えるようになってしまいました。
しかし、本来はそんな単純な話ではありません。
学校で2位になったからといって、昨日まで理解していた数学が突然できなくなるわけではありません。
逆に、学校で1位だからといって、東大入試に必要な力がすべて身についているわけでもありません。
それでも当時の私は、一度つかんだ1位から陥落すると必要以上に落ち込みました。
「1位でない自分には、もう東大へ行く可能性がない」
とさえ感じていました。
東大卒の親や、毎年多くの難関大学合格者を出す学校・塾が持っている大きな強みの一つは、私は「受験までの道筋を知っていること」だと思います。
「今はここまでできれば大丈夫」
「この時期なら、まだ結果が出なくても焦らなくていい」
そんな一言を当時の私が知っていたら、もう少し違った高校生活になっていたかもしれません。
第5章 高校2年から燃え尽き、東大はE判定以下
高校1年生で学年1位になったあと、私は燃え尽きたような状態になりました。
高校2年生から卒業するまで、学年1位どころか、理系のトップ3にも入りませんでした。
そして高校3年生。
現役時代の東大の合格判定は、E判定以下。
模試によってはF判定もありました。
高校1年生で学年1位を取ったときには、
「このまま頑張れば東大へ行ける」
と思っていたはずなのに、そこから成績を伸ばし続けることができなかったのです。
結局、現役の東大受験は不合格でした。
そして浪人して、初めて予備校へ通うことになります。
浪人して最初に受けた模試ではA判定が出ました。
夏頃までは、東大模試を含めてA判定かB判定。
ところが、秋になって現役生が力を伸ばしてくると、最高でもC判定になりました。
つまり私は、浪人時代でさえ、最後まで圧倒的な成績で走り切った受験生ではありません。
それでも、本番では東大に合格しました。
小学校から高校までずっと1位だったわけではない。
高校時代に順調に成績を伸ばし続けたわけでもない。
現役時代にはE判定以下だった。
それでも、最後に必要な力へ到達すれば合格することはできました。
この経験から私は、「途中の順位」と「最終的な合否」は分けて考える必要があると思っています。
第6章 東大受験に本当に必要なのは「順位」ではなかった
では、東大受験に必要だったものは何だったのか。
私自身の経験から考えると、大きく三つあります。
一つ目は、徹底した基礎力。
二つ目は、自分の頭でじっくり考える力。
三つ目は、誰かにやらされるのではなく、自分で決めて行動する力です。
現役時代の私は、数学と物理の基礎力が十分ではないまま、応用問題ばかりに取り組んでいました。
難しい問題を解けば解くほど、東大へ近づけると思っていたからです。
しかし、土台が不安定なまま難問に挑んでも、なかなか本当の力にはなりませんでした。
私に必要だったのは、さらに難しい問題集ではありませんでした。
一度立ち止まって、基礎からやり直すことだったのです。
それができたのは、浪人してからでした。
基礎的な知識を正確に理解する。
そのうえで、
「この問題では何を問われているのか」
「自分が知っていることを、どう組み合わせれば解けるのか」
と考える。
学校で何位なのかよりも、こちらの方がはるかに重要でした。
順位は結果です。順位そのものを上げようとするのではなく、自分に足りない力を一つずつ身につける。
その結果として、順位や判定が上がっていく。
今なら、そう考えます。
第7章 小学生の順位で、子どもの将来は決まらない
私は、小学生の頃から周囲を圧倒するような成績だったわけではありません。
小学校では宿題以外、ほとんど勉強していませんでした。
中学校では外部の実力テストでいつも2位。
高校入学直後は、学年10位前後でした。
高校1年生で一度は1位になりましたが、その後は成績を落とし、現役時代の東大模試はE判定以下でした。
それでも最終的には、一浪して東大に合格しました。
だから私は、子どもの現在の順位だけを見て、
「この子は難関大学へ行ける」
「この子には無理だ」
と決めつける必要はないと思っています。
成長する時期は、人によって違います。
早く結果が出る子もいれば、時間をかけて基礎を積み重ねたあと、一気に伸びる子もいます。
もちろん、小学校や中学校の勉強をおろそかにしていいという意味ではありません。
学校の授業を理解し、読み書きや計算をはじめとした基礎を身につけておくことは大切です。
ただし、毎回1位である必要はありません。
模試で早い時期からA判定を取り続ける必要もありません。
大学受験で最後に問われるのは、小学生の頃に何位だったかではありません。
受験当日に、合格に必要な力へ到達しているかどうかです。
大切なのは、誰よりも早く完成することではなく、必要な日に間に合うこと。
私自身の受験経験から、そう思っています。
小学生の成績についても、今の成績だけで将来を決めつける必要はないと考えています。実際、高校から本格的に勉強を始めて京都大学に現役合格した同級生もいました。詳しくは、「小学生の成績が悪いと将来も勉強ができない?東大卒の父が考える小学校の成績」で書いています。
まとめ|一番でなくても、東大は目指せる
東大に合格するために、小学校、中学校、高校と、ずっと一番である必要はありません。
私自身がそうでした。
むしろ私は、高校1年生で学年1位になったことで、
「1位でなければ東大には行けない」
という思い込みを強くしてしまいました。
そして順位を落としたとき、必要以上に自信を失いました。
今振り返れば、本当に見るべきだったのは順位ではありません。
数学のどこが理解できていないのか。
物理の基礎は本当に身についているのか。
なぜこの問題を間違えたのか。
次に何を勉強すればいいのか。
他人との順位ではなく、「今の自分に何が足りないのか」を見るべきだったのです。
小学生の時点の順位で、子どもの将来は決まりません。
高校で一番でなくても、東大は目指せます。
必要なのは、飛び抜けた才能や、ずっと1位であり続けることではありません。
基礎を積み重ね、自分で考え、自分に足りないものを修正しながら進み続けること。
そして、受験当日に必要な力へ到達すること。
私は、それが大学受験で最も大切なことだと考えています。
東大受験について、私自身が経験して分かった「10の誤解」は、こちらの記事にまとめています。


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